TOP > FEATURE > FEATURE > FOCUS 01後編:チームキット代表取締役社長「KATO`」「AAA」デザイナー、加藤博さん

各方面からご好評いただいているかどうかは分かりませんが、何はともあれ京都を拠点とするチームキットの代表取締役社長にして、「KATO`」と「AAA」のデザイナーを務める加藤さんのインタビューvol.2をアップ。前半ではお伝えできなかったファッションとの付き合い方など、興味深い話をお聞きできたのではないかと自画自賛しております。「ときめきメモリアルなアイテムその2」と併せてどうぞ!

イメージ画像加藤さん(以下敬称略)
自分がデザインした服、今は着てますね。歳とったからかな。インポートとか、ほかのブランドも着ますけど、自分が作っている服を着る頻度が高くなりましたね。

snazz(以下s)
フリーのデザイナーとしてご活躍されている時代によく着ていた、思い出に残っている服はどんなものですか? 当時のご年齢は20代後半ですか?

加藤
いや、30代の始めの頃かな。DCブランドが下火になっていて、アメカジがすごかった頃ですね。リーバイスの501の中でも人気があったのは66モデルとかでしたけど、僕が30歳の頃に急に高騰しだしてね。職業柄、リーバイスとか古いジーンズのことをよく取材されるんですけど、正直いってそこまで詳しくない。当時はそんなにこだわってなかったっていうのもありましたし。仕事で海外に行く機会がそこそこあったんで、向こうの中古屋さんで買うことが多かったですね。ほかは古着のスウェットとか、今と同じですけど紺ブレやボタンダウンを着ていましたね。靴はナイキの古いやつとか革靴もよく履いてたかな。あとは軍モノ。M-65とかMA-1も好きでしたし、モッズパーカー、USネイビーのコートとかも着ていました。よくロンドンに行ってヨーロッパの古着をチェックしていました。テーラーメイドのジャケットとか映画の中でしか見たことがないようなシャツをよく買って、仕様を見たり自分で着たりして参考にしていましたね。メンズファッションっていうのはロンドンっぽいスタイルやアメカジ、それとヒップホップテイストの3つをずっと繰り返している気がする。

イメージ画像s
加藤さんご自身も、ヒップホップというかストリートっぽい格好に流れたこともあったんですか? まさかとは思いますが(笑)。

加藤
時代が違うからそれはなかったな。僕らよりももっと若い世代の方じゃないですか。

s
99年に「KATO`」を立ち上げられてからは、ご自身が手掛けられた服を着ていたんですか?

加藤
そうでもないですよ。まぁデニムは穿いてましたけど。というのも、糸から自分で作っていてほかに穿いている人がおらんかったから、本当に自分が思ったように色落ちするかというのを確認するために穿いていました。で、実際に穿いていくと色落ち具合が意外とよくて(笑)。

s
意外にいけるやん、みたいな(笑)。ちなみに、服を作るうえで参考にしているもの、特別意識していることっていうのはありますか?

加藤
分かりやすくいうと、メンズの服で参考になるのが軍モノ、ワークウエア、あとはトラディショナル。それはヨーロッパ、アメリカを問わず。あとはブレザーかな。たとえばチノパンの場合だとワークエア、カーゴパンツだとミリタリーといった具合に落とし込んでいくと、そんなにバリエーションがないんですよね。その時代時代で流行りのファッションというのはあっても、数が限られてくるから、モノ単体のデザインで新しさを見せるというより、コーディネートで違いを出すというか。そもそも、メンズってそんなにたくさんの種類はいらないと考えていて。

s
確かにラインナップを見て、今と数シーズン前と比較してもほとんど変わっていないように感じます。

加藤
来季はまったく新しい違うものを作るから、今までものはサヨナラ~っていうのは当たり前だけど絶対にない。ちょっとずつ改良したり、何年か前に作ったものを今の時代に合うように作り込んだりはするけど、常に新しいアイデアを生み出そうというのとは違う。だから、ミリタリーにしろワークにしろ、どこかで混ざり合っているというか、意図的にミックスすることもある。「あ、これ上手くいったな。結構カッコいいな」って自分で思うときもあります。たまにね(笑)。

イメージ画像
ご自身が手掛けられた服に対して、今おっしゃったような満足度のようなものっていうのは。

加藤
たまにある。滅多にないですけどね。デザインをしていると、どこまでいっても「ん~」って思い悩むことがあるんだけど、服と素材の風合いなんかがマッチすると「うわ、すごいカッコいいな」って。なんか自然な感じがするというか、違和感がなくて。だから、ビジュアルだけに特化した服の場合だと、絵を描いて終わりなんで、それ以上の感動が味わえない。この春夏から、「DRESS BY KATO` /AAA」というブランドを始めたんですけど、例えばテーラードジャケットを専門で作っている人たちが使わないような裏地をあえて取り入れて僕なりの遊びを表現しています。僕がずっと携わってきたカテゴリーじゃないから、逆にすごく遊びやすい。完成したときに自分の中で逆に「ありやな」って思うし、周りもそれを支持してくれる。

s
確かに、テーラードを専門でされてこなかっただけに自由度が広がりますよね。ちなみに、ご自身が作られた服で、普段よく着ているのはどんなものですか?

加藤
デニムパンツ。あとテーラーとかブレザーとかジャケットはよく着ますね。

s
今日着られている白シャツも「KATO`」ですか?

加藤
いや、これは「インディビ」(笑)。

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話を180度変えさせていただきますが、ボクらが運営している『snazz』は、もの凄くファッション感度の高い人たちに向けたサイトではなく、ファッションを面白いと思ってもらえる一つのきっかけになれるようなサイトを目指しています。服に興味があるけど、どの雑誌の情報を頼りにしたらいいのか分からない。そういったユーザーにこそ、ファッションの楽しさを伝えたいなと。そこで改めて加藤さんにお聞きしたいのが、ファッションとの付き合い方。どうしたら服を選び、着ることが楽しくなるのか。

イメージ画像加藤
まぁ若い頃は冒険することが一番だと思います。その時々にいいなと思うものを着てみることかな。全部が似合うわけではないし、失敗もすると思うけど、そういうことを積み重ねることで、ちょっとずつセンスが良くなるんじゃないですかね。自分自身、あるときから急にモテるなって思うことがあったんですよ(笑)。今までだと、ちょっとがんばりすぎているように見られていたと思うんですけど、こなれた雰囲気が出てきてかなって感じることがあって。それまで人の着ているものを見て真似していたのが、逆に真似されるようになって。そうすると、やっぱり楽しいと思えますよね。何でもありというか、ブランドの良し悪しじゃないんだって。結局、ボクなんてミーハーですし、似合う似合わないは後回し。例えばボタンダウンのシャツだったらこのブランドを選ばないといけないとか、パンツだったらこれとか考えるから難しいのであって。今は情報過多の時代だから、スペックを追いかけてしまいがち。僕らが若い頃はそこを求めすぎてなかったし、第一そんなに情報や選択肢がなかった。だから最近は、このブランドとあのブランドを着ているからカッコいいとされがちですけど、それはやっぱり違うかな。情報を入れすぎるのは良くないって話がしたいわけじゃなく、別に最小限でいいんじゃない。自分が似合うものを模索していく中で、最終的にブランドの選択になっていくのが自然なのかなって。男の人も女の人もキレイに見られたい、モテたいっていうのがあると思うんですけど、それくらいがちょうどいいなって思いますね。カッコよく見られたいとか人よりも少し目立ちたいとか。それ以上求めすぎてしまうと、逆にモテなくなるかも(笑)。あとは生活感があるかどうかと、「あ、この服心地良いな」と思えるかどうか。いろいろと着ていく中で、少しずつそういうことが感じられるはずです。歳を重ねていくと自分の好みの服以外は省くけど、逆に若い頃は広がる一方。その広がりの中から、自分好みのスタイルを見つけるのが楽しいですよね。

いかがでしたでしょうか。実際にお話を伺っていて、"ブランドありき"ではなく、自分が似合うものを知ったその先にブランドがあるという件が印象的でした。確かに、自分にフィットするかどうかの見極めは難しいと思いますが、逆にそれこそがファッションの面白さ、醍醐味だとも思います。いろいろと模索していく中で、加藤さんが話しているように"こなれた雰囲気"が生まれるのでしょう。心躍るような服との出合いを期待し、いざenjoy fashion!!

加藤さんの、ときめきメモリアルなアイテム(Part 2)

アイテム1

Denim Pants"501"/LEVI'S
ジーンズの原点にして頂点のリーバイス501。「これは15、6年前にアメリカの古着屋で買ったもの。僕が若い頃はリーの方が多く出回っていて、リーバイスは珍しかった。新品もあったけど、カタチが細かったし、すでに色落ちしている中古ばっかり穿いてましたね」

アイテム2

Bracelet/MOTO
アルチザンな作りで知られる日本屈指のレザークラフトブランド「MOTO」のブレスレット。加藤さんはシルバーとゴールドの2種類をつけている。「最初にシルバーをつけていて、ゴールドは展示会でパッと見て惹かれました。お守りみたいな感覚で両方をつけています」

アイテム2

STAN SMITH/adidas
スニーカー史に名を刻む、言わずもがなの殿堂テニスシューズ。「これは復刻だけど、オリジナルが発売された当時、実際にこれ履いてテニスしてました。今はジーパンやウールのパンツに合わせることが多いですね。僕らの世代はコンバースより断然こっちです」

PROFILE
Hiroshi Kato

加藤 博

【チームキット代表取締役社長
「KATO`」「AAA」デザイナー】
アパレル専門学校を卒業後、レディースのカジュアルブランドの企画に携わったのがキャリアのスタート。フリーランスのデザイナーとして様々なブランドでタクトを振るい、1999年春、自身の名前を冠した「KATO`」をスタート。以降、「AAA」や機能美を追求した「パストンブルー」、レディースブランド、「グランマ ママ ドウター」を立ち上げる。関西ファッション界きっての重鎮ではあるものの、物腰が柔らかく愛嬌のあるキャラクターで、多くの業界者から慕われている。
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