TOP > FEATURE > FEATURE > FOCUS02後編:【ビームス 大阪】ディレクター、大竹 順也さん
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[ビームス 大阪]のディレクター、大竹さんのインタビューの後編です。前回は、これまでのスタイル遍歴やファッション観が中心でしたが、今回は販売員としての在り方やセレクトショップとの付き合い方などを語っていただいております。ネットショッピングも便利ですが、やっぱり服はスタッフとの対話を通して買いたい。そう改めて感じた次第です。

―好みの格好がずっと変わっていないということですが、スタイルのお手本のようなものはありますか? 例えば映画とか。

「いや、僕は若い時分に映画も本もそれほどたしなんでいなくて。刺激は周りからたくさん受けているんですけど、影響を受けたといえば山根さんの太めのパンツのチョンチョン穿きとかくらいかな(笑)。あとは『VOGUE』なんかで、チェック×チェックの合わせを90年代の初めに見たことがあって、そのままを真似るのではなくカモフラにカモフラを重ねるとか、"自分なりの真似"っていうのを楽しんでいました。お客さんにも言うことが、『たとえお金があったとしても憧れのスタイルの服を全部買って真似するのは簡単ですけど、そうではなく一つだけ買ってあとは自分が持っているもので、それを真似る方が面白くないですか?』ってこと。今月はこれを買って、来月はあれを買ってていう繰り返しが、果たして面白いのかなって感じていて。新しい服はどんどん出るわけで、先月お取り置きしたものをキャンセルしたくなる。そうなったら僕らも商売あがったりですしね(笑)。僕らの仕事は販売ですが、ただ売ればいいというわけではなく、お客様一人ひとりに合わせたパーソナルな接客をしないといけないわけです。若いお客様には、『ウチでコンバースを買うよりも、どこどこの店だったらいくらで売っているから、そこで買っておいでよ』って。時代が時代ですし、そういったお客様の財布のやりくりも僕ら販売員が担わないといけないなって。やっぱり、若い方や結婚されている方、要は自由にお金を使えないお客様にはいい買い物をしていただきたい。買って終わりじゃなく、買い物の中身が濃いと感じていただけるようなね。そういうことは20年近くいろんな方法で仕事をしてきて、辿り着いた答えの一つですね」

―おっしゃる通りだと思います。買い物する側も、ただ単に店頭に並んでいる商品を見て、レジに並ぶだけではもったいないような気がします。自宅のPCの前に座って、欲しい商品をクリックすることと大差がないのかなって。

「あ、そういえばビームスでいうと白川さん(※1)にも影響を受けていますね。パンツのバランスとかは影響されました。(笑)。白川さんとも、19年前のラピーヌ時代に知り合いになりました。初めてお会いしたとき以来、巻き物をされていたり、カッコいいシルエットのパンツを穿かれていたり。ただ、僕とは体型が違うので、白川さんのスタイルから取り入れているものというとメガネと巻き物、それに軍モノの着こなし方ですね。当時、フィールドジャケットやアウトドアアイテムをあんなにぴったりと着られる人は周りにいなくて。やっぱりシルエットバランスって重要だなって。僕は背丈がなくて痩せていて似たような体型の人がいなかったから、重ね着とかで工夫していましたね。今でもそうで、1st(※2)なんかのデニムジャケットを着ようと思ったら、中にネルシャツを着て、その上からスウェットを着てってなる。ジャケットを含め5着くらい着ることもあるくらい(笑)。冬にアウターを着る場合は、インナーの重ね着が重要です」

※1

白川 剛さん
[ビームス]の関西・広島エリアマネージャー。ビームスの関西エリアマネジメントを務め、10代から遊ぶ大阪と、生活する神戸をこよなく愛し、それらの街を舞台とした食べ、呑みを、ファッションと同じくらい学び、楽しみたいと考える。

 
※2

1st
リーバイスのデニムジャケットの最初期モデル。主に'40年代に生産されていた。後継モデルといえる2nd、3rdとのディテールの相違点を含めた薀蓄は、このスペースには書き切れません!

―そういったサイズバランスの話はお客さんにも伝えられるんですか?

「ん~...。僕が若い頃と違って最近はサイズ展開が多いですし、ボテッとしていない現代的なバランスにアレンジされていますからね。ウチでも好評のオアスロウ(※3)も、古き佳き時代のアメリカンカジュアルをベースとしているけど、サイズ感は実に今っぽい。アイテムのクオリティにしろ、サイジングにしろ、日本のブランドが良くなっているのは僕ら30代や40代の作り手の人たちが、昔にサイズ選びなんかで苦労したからかもしれませんね。苦労したからこそ、良い服を着てほしいからこそ、改良しながら作っている」

※3 

「オアスロウ」
デニムの聖地である、岡山は児島のデニムメーカー出身の仲津一郎さんが手掛ける温故知新的アメカジブランド。今春夏より[オアスロウ]よりも自由度が広げた新ブランド、[ノスタ]を立ち上げた。

―そう考えたら、20年前と比べて着方や選び方で工夫する機会も少なくなっているのかもしれませんね。考えなくてもいいから、手軽にお洒落できるみたいな。

「確かに。僕が若い頃は体型に合わせてあれ着てこれ着てってしていましたけど。そのまま穿くとイマイチだけど、ロールアップしたらバランスが良くなったとか、そういった工夫もファッションの楽しさも一つですからね」

―10年前、20年前に比べてブランドの数が増え、当然のことながら選択肢も増す一方です。そうなると、選ぶ側の悩みも増えますよね。要は確たる自分スタンダードを持っている人はいいですけど、そうじゃない人にとってはどの服が自分に似合うのかを見つける、知ることが困難になってきているのかと。

「ブランドにしろサイズにしろ、これだけ多くの中から選べるっていう時代なので、ショップに行って販売員に何でも相談するのがいいと思います。気心の知れた販売員を作るといいますか。スタッフとちょっとでも会話をするだけで、(アイテムの選び方などが)かなり違ってきますから。ネット全盛ですし、販売員一人ひとりの役割が一層求められています。よく、ショップで試着をして、自宅に帰ってネットで購入するという話を聞きますが、ネットを見ていて気になったアイテムがあったら、ショップで実物を見に来たっていう逆のパターンを増やしたいですね。やっぱりネットよりも実店舗の方が面白いなと感じてもらえれば、また足を運んでもらえるでしょうから。僕らも、もっとファッションや買い物の楽しさを伝えていきたい。僕はファッションも好きですけど、それ以上にいろんな人と接することが好きです。これからも、お客様と一緒に成長していきますよ!」

以上でインタビュー終了~。いかがだったでしょうか。大竹さんがおっしゃる通り、ショップスタッフとあ~だこ~だと話をしながら買い物するのが、自分スタイルを確立する近道だと思います。何より、一人で黙々と物色するより断然楽しいですし。最後になりましたが、週末のオープン前というお忙しい時間にご協力いただいた大竹さん、ありがとうございました。これからもsnazzをよろしくお願いします!

大竹さんの、ときめきメモリアルなアイテムvol.2

アイテム1

SILVER ACCESSSORIES
「ビルウォールレザー」や「ティファニー」、ネイティブetc...、ジャンルレスなシルバーアクセサリー。スタイルうんぬんよりも、その日の気分で着けるものを選んでいる。ちなみに「ビルウォールレザー」のリングは、クラプトンが着けているとの同じモデルだそう。

アイテム2

505/Levi's
「ラピーヌに勤めていた頃、辞めることを知人に伝えたときに餞別としていただいた一本です」。これが505との最初の出合いで、以来ノンウォッシュを中心に定期的に買い足している。「501よりも505の方がダサカッコいい」とのこと。

 
アイテム2

LEATHER SHOSE/BEAMS PLUS
モカシンのような雰囲気のスリッポン。大竹さんは写真のように太めのパンツに合わせることが多い。「通常の革靴のようにインソールがなくて、自分の中ではスリッパ代わり(笑)」。前編に掲載しているオールデンと同じく、これも[ビームス 大阪]入社当初に購入。

PROFILE
Junya Otake

大竹 順也 【ビームス 大阪】ディレクター

大阪生まれ大阪育ち。10代後半の頃に始めた、関西のセレクトショップの走りである[ラピーヌ]でのアルバイト勤務がキャリアの原点。その後、二十歳で[ビームス 大阪]に入社。20年近くの社歴を重ねている現在も、スタッフの育成に注力する傍らショップに立ち、幅広い年齢層の顧客にファッションの奥深さを伝える。
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